AdultChildren アダルトチルドレンという考え方(精神科医師斉藤学の考え方より)~虐待の連鎖は止められる~
AdultChildren アダルトチルドレンという考え方(精神科医師斉藤学の考え方より)~虐待の連鎖は止められる~
何故だろう?
私たちは何時も人から、誰かから嫌われている?と感じている。
または、いつも怒っている、本当は泣きたい、寂しくてやる気がない、自分は生きている価値がない…等と、生きづらさを誰にも話せない。
そう感じてしまうのは、育った環境や家族から、私たちはしんどい考えやコミュニケーションを学んでしまったからかも…。
他人の子供なのに子供を見ると心がざわつく、怒りや嫌悪感が湧く、泣いている子供を見ると怒鳴ったり蹴りたくなる…など。
自分の子供を愛したいのに愛せない…、どうすれば子供が落ち着くのかわからず怒鳴ってしまう、叩いてしまい我に帰って泣いてしまう…など。
学校や会社で話さないといけない時言葉につまる、何時も人にひどい言葉を言われてしまう…、集団や会議が怖く頭が白くなったり落ち着いて振る舞えない…、クラスや部署の仕事を1人で背負い残業する…など。
恋愛に憧れても人を好きになったことはない、何時も自分を傷つける人を好きになってしまう…、何時も友達の彼(彼女)を好きになり修羅場になる、複数の人と交際して滅茶苦茶になり全員と別れるなど…。
あ、そうなんだよと、そう感じたあなたは、AC(AdultChildren アダルトチルドレン)かもしれません。
これからご説明しましょう。
AC という考え方も、虐待も、生きづらさも、誰かが悪い、私が悪いという話ではないのです。
◆ACが生まれる背景
【虐待の連鎖】
虐待とは
(記述が下になるほど重いとされる。複数が混ざり合うケースも多い)
・身体的虐待 ・精神的虐待
・育児放棄(ネグレクト) ・性的虐待
子供の脳は親から与えられる虐待(身体的虐待、精神的虐待、ネグレクト、性的虐待すべて)を愛だと学習し、間違ったコミニュケーションを身に付けてしまう。
成長して自分を傷つける親に似た人と恋愛し子供が出来ると、親と同じように子供に虐待してしまうことが多い。これが虐待の連鎖で親だけを責めても虐待は止まらない。
支援(保健師訪問相談や子供家庭支援センター、児童相談所、母子寮など)治療(カウンセリングや薬物治療など)学習(乳幼児期の発達などについての学習、認知行動療法など)により虐待の連鎖を止めることは可能。
【DV ドメスティックバイオレンス】
家族間、配偶者間、交際相手に対する暴力。
・身体的暴力 ・精神的暴力
・経済的暴力 ・性的暴力
DV法はできたが、未だ家庭内の闇に隠れ、相談すら恐れる被害者も非常に多い。
当事者が家族に相談しても暴力や自己犠牲を受容せよと言われ逃げることが出来ず死亡するケースもある。
虐待を受けて育った母親がDV被害の為子供を虐待したり、育児放棄で死なせてしまったりすることも多い。
暴力を受け続けた為に心が死んだようになり、夫から子供への虐待を止めることが出来ずに子供を死なせてしまった事件など近年痛ましい事件が多発している。
女性が男性に暴力をふるうケースも増えている。男性は自分より力の弱い女性が可哀想になり逃げない時もあるが、結果、暴力を目撃し続ける子供に心的外傷を与え心理的虐待をしている時もあり支援治療が必要。
各都道府県の女性センターや区役所町役場の婦人相談、民間のシェルターなど相談先は多岐にわたる。
男性の被害者が相談できる電話相談もある。
男性の加害者が相談できる電話相談や加害者支援プログラムを実施している団体もある。
【引きこもり】
未だにガイドラインはあるが、統一基準がない。
●「引きこもり」と定義する対象年代を10~からどこまでにするか。
●「引きこもり」を外出したいのに何らかの理由で外出できず社会に参加できない状態と定義すると?
●「引きこもり」の原因は?
・いじめや虐待、DV、性暴力被害などによる心的外傷でうつ状態やパニック障害、統合失調等になり学校会社などに行けない。
・母国語が日本ではない国から転校してきた、発達障害などの理由で学校会社などになじめない。
・病気の家族や兄弟姉妹を自分(子供)がみなければならず学校に行けない。学校に行けなかったため学歴がなく働けない。子供が祖母を介護しているケースも。
・幼児期からの習い事塾で心の発達に必要な遊びの時間が少なく、お受験の失敗などが重なり自分をダメな人間と信じてしまい外が怖くなってしまう。
・依存症(アルコール依存症、薬物依存症、ネット依存症、ゲーム依存症、摂食障害、強迫神経症など)を抱えてしまい対人恐怖や社会不安が強くなり外へ行けない。
・機能不全家族の父母の間をつなぎ止める為子供が不登校になったり、非行などの問題行動をおこすこともある。
・母子(父子)カプセルが強くなりすぎて、親の社会に対する大きすぎる不安をそのまま子供が吸収し、外の世界は怖いものと信じてしまう。
など
◎化学物質過敏症、脳脊髄液減少症や重度のアトピーなどによる外出困難な状態をひきこもりに入れるか?
◎在宅ワークは引きこもりに含めるか、介護離職は含めるか、議論が待たれる。
注:平安時代の姫君や寅さんの時代の家事手伝いや居候は全く責められなかった。
優秀な労働者のみを生み育て評価する人口減少に悩む社会は、個人の生き方の選択肢を極端に狭めた。
弱者や引きこもり精神疾患の人々を責める風潮は、責める彼らがどれだけ大きすぎる不安痛みを抱えているか、その悲鳴だと思われる。
ひきこもり=精神疾患の人との報道が散見され、国のひきこもりガイドラインの影響かと思われるが、その報道は誤りでは…?
精神疾患の人が殺人事件をおこす確率は、そうではない人と比べると、変わらないもしくはそれ以下であるという調査が海外でもある。
「当事者を必ずしも社会に戻すことのみがゴールではない」by向後善之先生
当事者が外に出て働けないなら死にたいと思いつめる状況から、一歩抜け出せる支援が日本全国で出来るようにすることが最重要課題だと思われる。
【さまざまな依存症】
心の傷、痛み苦しみを依存症にかかることにより直視せず済み、すぐには死なず生きることが出来る。
カウンセリング薬物治療と共に自助グループへの参加が有効。
依存症を家族周囲が止めると当事者の暴力を誘発することが多く危険。
依存症をとった後うつ病になる時もあり自殺などに注意が必要。
危険度の低い依存症をほどよくやりながら長生きする例もあり、すべての依存症=悪とは断定し難い。
依存症が家族や子供に対してDV虐待の原因になることも多く支援治療が必要。
・薬物依存症 ・アルコール依存症 ・ギャンブル依存症 ・ゲーム依存症
・スマホ依存症 ・ネット依存症 ・セックス依存症 ・恋愛依存症
・買い物依存症 ・かきむしり症 ・強迫神経症 ・摂食障害 ・盗癖 ・喫煙 など
◆AdultChildren(アダルトチルドレン)という考え方
次に記すように、1人の人間の中に3人の私がいると考える。
1・心的外傷体験を受けた幼児期の自分
2・インナーマザー(責める自分、現実の母とは違う)
3・調整者(不完全な自分と折り合う、外界ときちんと向き合う)
小さな自分を癒やすことでインナーマザーが小さくなり調整者が育つ。
調整者が育ってくると現実の人間関係や問題(虐待・DV・いじめ・各種依存症・摂食障害・盗癖・ひきこもりなど、うつ病・統合失調などの精神疾患など)が改善する。
【機能不全家族】
父親と母親の心の結びつきが微妙で関係性が悪いと、母親は子供との結びつきを強くしすぎてしまい、カプセルを作ってしまう。(母子カプセル)精神疾患や、さまざまな依存症、摂食障害や盗癖の問題に顕著にこの問題が見られることが多い。
または父子カプセルとでも呼ぶべき、父親の恋人役の娘が育ってしまう。(このような時、母親が経済的心理的DVにあっていることも多い)
複数の兄弟姉妹がいれば役割をそれぞれ分担するが、兄弟姉妹のいずれかを亡くしていたり、1人っ子だと前述のすべてを1人で背負い混乱する。
昔々、大家族の叔父叔母祖父母と同居など、または兄弟姉妹がいる中では1人の子供への関心も分散して、子供も複数の大人と関わることができたが、核家族化でそれは難しくなった。
母子の結びつきは、健全な家族は父親が子供の成長期をすぎたあたりで、ほどよく切ってくれるが(大好きなママはパパと2人でデートに行くなど)、近年、日本は特に難しい。
◆治療法
【心の傷を癒やす治療法】
・カウンセリング ・薬物治療(症状が重い時) ・家族療法 ・遊戯療法
・絵画療法 ・音楽療法 ・温泉療法 ・針灸 ・マッサージ ・ヨガ
・アロマテラピー ・フラワーエッセンス など五感に働きかけるもの
・ジェノグラム ・ハコミセラピー ・アサーティブ
・ボイスケアトレーニング ・認知行動療法 ・暴露療法 ・演劇療法
・弁証法的感情コントロール ・マインドフルネス など
日本でも昔、精神疾患は本人の病と捉えられていたが、家族病理やトラウマによるものという精神科医斉藤学や向後善之先生の認識が、海外のように広がってきている。
フィンランドやイタリアではカウンセリング・会話で地域一丸となり、統合失調などの精神疾患を治す。
近年日本でも、斉藤学医師が薬物治療カウンセリングを併用し乖離性障害、統合失調などを治療し、向後善之先生がカウンセリングにより乖離性障害や統合失調などの治療にあたっており、両名とも多くの痛みを抱える人々を癒やし治している。
現在誤った報道も多く、統一基準や支援回復マニュアルのない、ひきこもりについても適切な支援治療(家族、当事者どちらか一方でも)ができれば心の回復は可能。
【家族療法という考え方】
依存症や精神疾患の当事者が病院に来られない時も、家族の偏ったコミュニケーションや考え方にアプローチして回復に導く。
当事者本人の治療も、本人の生育歴などにより偏った考えやコミュニケーションを習得し依存症や精神疾患などになっていることに着目し、その原因を本人と共に探ることにより回復に導く。
◆その他 知ってほしい考え方
【鏡の法則】
自分と相手の感情は、わたしと鏡の向こうの私のように影響しあう。
・自分が不安(相手は不安な表情を拒絶、怒りや嫌悪と読み間違う)だと相手も不安になる。(拒絶、怒りや嫌悪を自分も感じる)
・自分が安心(相手はリラックスした表情を受容的と感じる)だと相手も安心する。(安心感や幸福感が伝染する)
注:脳は目の前の人の真似をする機能がある、“ミラーニューロン”。
フェイクスマイルの効用をクラフト・プレスマン2人の心理学者が研究発表。
【投影】
生まれ育った家族やいじめなどの幼児期の辛い経験を脳が記憶して、成長後似た外見世代の他人にも当てはめて、初対面の人にも幼児期の家族や友人への怒り悲しみ不全感などをぶつけてしまう。
例)白人の黒人への差別や怒り、逆も然り(人種問題)。学校・会社でのいじめパワハラセクハラ人間関係など。 宗教、国家間の争いなど。テロ、紛争、戦争など。
◆終わりに
【世界中の人は皆AC?】
怒っている人は泣きたい人、泣いている人は怒りたい人
私達は1人1人、皆1人の人間…。
誰も個人の生き方を非難したり否定する権利はない。
本当は自分の生き方を非難したり否定する権利もない。
私たちは自分で心の傷を知れば自分で手当てすることができる。
「私」の一番の理解者、一番の治療者は「私」かもしれません…。
皆同じように悩み、苦しみを抱えている。
もしかしたら、世界中の人は皆ACかもしれない…。
悩んでいる方々、勇気を出して、問題の専門家に話してみて下さい。
私たちも日本全国からの匿名のご相談を電話の前に座り全身を耳にして聴いています。
日本のNPO法人日本トラウマサバイバーズユニオン(since 1997)
JUST電話相談 責任者 二宮 敬子
監修)斉藤学先生、向後善之先生
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